「グッチ」も参入、”中古”ラグジュアリーファッションの今

「グッチ(Gucci)」がアメリカのセカンドハンド小売「The RealReal」との提携を発表したばかりですが、その直後に同社の株価は12%も上昇。業界に対する注目度の高まりを表しているようです。

環境意識の高まりや消費行動の変化を受け、近年ラグジュアリーファッションのリセール市場が急速に成長しています。

 

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新品ラグジュアリー市場を大きく上回る速度で成長

BCGとAltagammaが2019年に発表した調査によると、2018年時点でのセカンドハンドのラグジュアリー市場は250億ユーロ(約3兆1000億円)規模と見られており、年間成長率は12%と、新品ラグジュアリー市場の3%と比べても急速に拡大しています。

また、最近BCGがハードラグジュアリー(主にウォッチとジュエリー)に関して行った調査によれば、このセグメントだけでも210億ユーロ(約2億6000万円)を占めており、年間成長率は8%とやはり高い水準を誇っているそう。ちなみに、うち75%はウォッチ、残り25%がジュエリーとなっています。

セカンドハンドの売上は新商品の購買を抑制することはない。実際、セカンドハンド売買は、新商品の売上を補完し、ブランド価値を高め、ブランドや小売店が育てるべき見込み顧客のグループに訴求することに繋がる。- BCG

2020年の調査では、ラグジュアリー消費者のうち62%がセカンドハンド商品の購入を検討していると答えたほか、25%はすでに購入したことがあるということです。

消費者意識の変化とコロナ禍、オンライン需要

若い世代においては、ラグジュアリー商品に対するサステナビリティの問題意識が高まっていることも急成長の背景にあります。この傾向はコロナ禍の前から存在していましたが、パンデミックとそれに伴う経済不安がそれを後押しする結果となりました。

BCGが聞き取りを行ったところ、全世代の消費者グループが、セカンドハンドのラグジュアリー商品を堅固な投資対象と考えていたそうです。

SNSなどデジタルツールの進化も一因として挙げられてます。ブランドの歴史やストーリーを語り、パーソナライズされたラグジュアリー体験を提供するのに、SNSは欠かせない手段となりました。

Lystの9月30日付データでは、9月に入って以降、セカンドハンドに関するキーワード検索は104%も伸びたそう。「ヴィンテージファッション」の月あたり検索数は3万5000件でした。

ブランド側の介入の必要性、「グッチ(Gucci)」と「シャネル(Chanel)」の異なるアプローチ

消費者の意見として特筆すべきなのは、ブランド自身の介入や管理をセカンドハンド売買に望んでいるという点でしょう。 BCGの調査によれば、70%のラグジュアリー消費者がブランドから直接セカンドハンド商品を購入したいと思っているそうです。また、74%は販売業者で買う商品に公式の認証が欲しいと考えていました。

「The RealReal」と「グッチ」のパートナーシップもこうした需要を受けたもので、年末までブランド公認の中古商品を扱うオンラインショップが開設されています。「グッチ」は「The RealReal」でも人気が高まっているブランドで、他と比べて平均2.3倍と高額で取引されているとのこと。「サステナブル」にもこだわり、アイテムが売れるたびに非営利団体を通じて植林が行われるというシステムも導入しました。

一方、やはりセカンドハンド市場でも根強い人気を誇る「シャネル(Chanel)」は、Lystの検索数でも9月に前月比67%と大躍進。キルティングのダブルフラップバッグは一番人気のヴィンテージアイテムで、ひと月で2000PV以上を記録しました。

そんな「シャネル」ですが、こちらは独自の鑑定メソッドを持っており、「The RealReal」や「 What Goes Around Comes Around」といったオンラインプラットフォームに対しては厳しい見方を示しています。2018年には上記2サイトを相手取り、「自称”専門家”が商品を本物だと認定しているかのように思いこませ、消費者を騙している」といった訴えで裁判を起こしました。

BCGは、リセール事業の獲得、パートナーシップ、合弁事業、新カテゴリの設置など、企業によって異なるアプローチを選ぶよう提言しています。どちらにせよ、今日のマーケットにおいて、ラグジュアリーブランドが中古販売に対して無関心ではいられないという事実が浮き彫りになりました。

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トレンド、ショッピング、ビジネスニュース、パリ生活。在仏10年近い現役ファッション関係者が、モード ラバーから業界人まで幅広くファッションに携わる方々に向けて独自の情報を発信しています。