「ラフ シモンズ(Raf Simons)」が、デジタル形式で2021年春夏コレクションを発表しました。「Teenage Dreams」と題されたフィルムでは、自身の軌跡を辿るよう、様々なユースカルチャーをテーラードの要素で昇華したコレクションを披露。ブランド初となるウィメンズウェアも正式発表となりました。
原点回帰のユースカルチャー
「洋服というよりは、僕自身のあり方、過去、現在、未来を表現したかった。過去の記憶と未来への視点を取り入れ、それを今日の世界に落とし込んだ」とラフ・シモンズ。
「夢」というよりは「悪夢」といった雰囲気のフィルムはMark Van Ackerが手がけたもので、Senjan Jansenによる独特の浮遊感のある音楽が幻想的な世界に誘う作りに仕上がっています。
壁に開いた穴から”貞子”風に這い出てくるモデルの演出はさながらホラーですが、インスピレーションとしても、『スクリーム』や『エルム街の悪夢』といった映画の名前が挙げられています。他にも、ギレルモ・デル・トロの『パンズ・ラビリンス』やアントニオーニの『砂丘』から『不思議の国のアリス』、ジョイ・ディヴィジョンの曲まで、非常にパーソナルなラフ・シモンズらしい言及が。
ブランド設立当初の90年代後半。アンダーグラウンドミュージックを中心としたユースカルチャーに身を置いていたラフ・シモンズは、デビューコレクションでもアントワープの”キッズ”に焦点を当てていました。
それから25年が経ち、「ジル・サンダー(Jil Sander)」、「ディオール(Dior)」、「カルバン クライン(Calvin Klein)」といったラグジュアリーメゾンやメインストリームブランドにも関わり、「プラダ(Prada)」を共同で手掛けるようになったばかりです。名実ともに「巨匠」になった今、このタイミングで改めて自身の原点に立ち返った形に。
「WELCOME Children of the Revolution HOME」と初のウィメンズウェア
若者らしい痩せたモデルが纏うスリムなシルエットのコレクションは、スキンタイトなトップスとスリムなフレアパンツが印象的でした。特にハイネックのトップスに記された「WELCOME Children of the Revolution HOME」のスローガンは今回のテーマを象徴しているよう。
サイケデリックなプリントから、自身のアーカイブピースを思わせるスウェットに写真をコラージュしたアイテムなど、いろいろな「ユース」を盛り込んでいました。首からぶら下がるような形のベストなど、脱構築されたテーラードアイテムの要素がアクセントに。
初となるウィメンズウェアにも、メンズウェアと同じくラフ・シモンズらしいコードが取り入れられていました。レングスは全体的に長めで、シルエットはフルイドでスリム。ぴったりしたハイネックのトップスや、フルレングスのサテンスカート、メッセージが踊るアイテムとのレイヤードルックが登場しました。
ちなみに今年12月には、ブランド25周年を記念して、アーカイブから100アイテムを限定復刻させる「Raf Simons Archive Redux」コレクションの発売も控えています。
■「ラフ シモンズ」2021年春夏コレクション(メンズ・ウィメンズ)全ルック:https://rafsimons.com/ss21