数字で見る2020年トレンド総括、コロナ禍と洋服 代表アイテムは「マスク」

Stylight」が2020年のトレンドまとめを発表しましたが、今年のトレンドにはコロナ禍の影響が大きく現れていました。

ラウンジウェアやサステナビリティへの関心が高まったほか、ロマンティックでカントリーなムードやユーティリティウェアの人気が急上昇。そして何と言っても、2020年を象徴するアイテムとして注目を浴びたのがマスクでした。

皮肉なことではありますが、医療目的ではないファッションマスクが注目を浴びるという現象は、「マスク」が特別なものではなくなり、私たちの日常の一部になりつつあるという証拠とも言えるでしょう。

コロナ禍の新しい生活様式

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、私たちの生活様式は一変しました。日本でも外出自粛が推奨されていましたが、欧米諸国ではさらにラディカルなロックダウン(外出禁止措置)を導入。人と衣服との関係や需要も必然的に大きく変わりつつあります。

社会のムードに合わせて、売れる商品も変わっていく。自然かつ想定内のプロセスです。ロックダウンの間は、人と会う機会がほとんどゼロになり、在宅勤務が増え、家でワークアウトすることになる。こうして、フォーマルな衣服からコンフォータブルなスタイルへと、需要も移り変わっていきます。 − Illenia Sarman「Stylight」ヘッド・オブ・ブランド&コンテンツマーケティング

ラウンジウェア

 

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自宅で過ごす時間が圧倒的に増えたことで、ラウンジウェアは単なる部屋着ではなく主役級のアイテムに。テレワークにズーム会議といった新しい働き方が浸透したこともあり、オフィスウェアとしての役割も求められるようになりました。

「Stylight」によると、ラウンジウェアカテゴリーのアイテムのクリック数は、前年2019年と比較して56%増加したとのことです。ちなみに、パジャマは59%増

ブランドとしては、ラグジュアリーなナイトウェアを展開する「フォー レストレス スリーパーズ(For Restless Sleepers)」が人気で、クリック数は60%増と大きく伸びたそうです。

アクティブウェア

 

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ロックダウン中の楽しみといえば、読書やDIYの他に、ランニングやヨガ、トレーニングといった運動が挙げられます。健康への意識が高まったこともあり、アクティブウェアの需要が急速に高まりました。

レギンス のクリック数は40%増、スポーツブラは52%増と、前年に比べてスポーティなアイテムを求める人が増えていることがうかがえます。

マスク

日本やアジア諸国では、コロナ禍以前から、若者のファッションとしても、感染やアレルギー予防としてもマスクを着用する文化が浸透していました。しかし、欧米諸国の事情は違い、医療関係者以外でマスクを着けるなど、それこそ「非常識」といった認識が一般的でした。

しかし、今では世界各国で公共の場でのマスク着用が義務になっています。「Stylight」の画像には「WELL. WHO EXPECTED THAT…(誰がこれ(マスク流行)を予想できたでしょう)」とのコメントが書き込まれていますが、欧米諸国では本当に予想外のトレンドとなりました。

「1日のうち12時間着けていなければいけないなら、可愛いものがいいでしょう?」との指摘通り、生活の一部、顔の一部となったマスクには、やはりファッション性や個性を求める動きが。フェイスマスクのクリック数は夏にピークを迎え、5月と8月を比べると、なんと864%も伸びたそうです。

サステナビリティとラグジュアリー

環境や社会への意識の高まりはここ数年でも観測されていましたが、コロナ禍が既存の消費のあり方の変容を後押ししました。古着市場も大きく成長するなか、ラグジュアリーメゾンもサステナビリティに配慮した戦略を打ち出しています。

エコファー&エコレザー

 

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動物保護の観点からも、エコファーとエコレザーが注目されています。昨今では技術も発達し、質感や色出しなど、以前より選択肢も増えてきました。ラグジュアリーブランドでエコレザーやエコファーを取り入れる例も少なくありません。

「ナヌーシュカ(Nanushka)」や「スタンド スタジオ(Stand Studio)」など、上記の素材を中心に展開するブランドも人気を博しています。「Google Trends」では、ラグジュアリーなエコレザーの検索数が、前年比で1000%と大きく伸びたそう。

デニム

 

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ジーンズはもはやワードローブに欠かせない存在となっていますが、デニムの環境負荷は無視できません。水を大量に消費し、危険な化学物質を用いるジーンズをどうエコ化するか。各ブランドが様々な策を打ち出しています。

例えば、北欧のエコデニムブランド「ヌーディージーンズ(Nudie Jeans)」のクリック数は、前年に比べて30%増加したとのこと。

エコ素材

 

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「グッチ(Gucci)」がサステナブルなナイロン「econyl」を率先して使用しているほか、「プラダ(Prada)」の「Re-Nylon」シリーズや、「バーバリー(Burberry)」のサステナブルなコレクションなど、素材から環境問題へのアプローチを行うブランドは少なくありません。

「Stylight」では、高機能のエコ素材を使ったドイツのブランド「Aeance」のアイテムのクリック数が、前年比で514%と大きく増加しました。

デッドストック布とアップサイクリング

洋服の生産工程では多くの布が余り、それが廃棄物として処理されてきました。そうしたデッドストックの布を使用して新しいものを作り上げる、クリエイティブかつエコなアプローチも普及しつつあります。

「アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)」は、デッドストックの布を用いた「Repurposed Collection」を発売。「Ellery」も、ブランドのアーカイブピースを新たなデザインで蘇らせました。

中でも今一番注目されているブランド「マリーン・セル(Marine Serre)」もアップサイクリングで知られています。ビヨンセが『Black is King』で着用したことで話題になり、ブランドのクリック数は前年比で1000%以上と目覚ましい伸びを見せています。

ロマンティックでカントリーな「Cottagecore」

Z世代と呼ばれる若い層に人気なのが、ロマンティックでカントリーなムードの「Cottagecore」スタイル。「森ガール」とも比較されるスタイルですが、TikTokで盛り上がりを見せているほか、新世代のイットガール、ミリー・ボビー・ブラウン(Millie Bobby Brown)なども取り入れています。

ピーターパンカラーとフローラルドレス、ケーブルニット

 

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特に大振りの「ピーターパンカラー」のブラウスは、「Stylight」でのクリック数が前年比62%増と伸長したそう。Z世代にも人気の北欧ブランド「ガニー(Ganni)」は、襟だけを様々なバリエーションで発売していますが、どれも完売状態と非常な人気を博しています。

また、フローラルドレスは141%、ケーブルニットのカーディガンは56%とクリック数が増加。ロックダウン中に田舎の家で過ごすセレブリティも少なくないようですが、牧歌的でロマンチックなトレンドも、「スローな暮らし」への回帰を表しているよう。

人気ブランドは「LoveShackFancy」

 

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2013年設立のニューヨーク発「LoveShackFancy」は、ソフトでボヘミアン、フェミニンなスタイルで人気のブランド。コロナ禍でも業績は好調で、2020年には、6月として過去最高の売上を記録したとも「Business of Fashon」に話していました。

「Stylight」でのクリック数も今年は大きく伸び、前年比で127%とクリック数が急速に増加したそうです。

ユーティリティウェア

ロックダウン中にDIYや部屋の模様替えに取り組む人も増えたせいか、機能的なユーティリティウェアの需要が高まっています。コンフォートや手入れのしやすさという視点から見ても、動きやすい衣服はコロナ禍の社会のムードを反映していると言えそう。

ボイラースーツ、カーゴパンツ、コンバットブーツ

 

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特に人気のアイテムはボイラースーツで、クリック数は前年に比べてなんと1000%以上も伸びたそう。

また、カーゴパンツは104%増、コンバットブーツも224%増と、このカテゴリは急速に需要を拡大していることがわかります。Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く』でも注目されたバケットハットは、81%増加しました。

人気は老舗「ハンター」

 

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今シーズンはラバーブーツが主要なトレンドとなっていますが、ブランドとしてはやはり老舗の「ハンター(Hunter)」が人気のようです。

9月から10月で、「ハンター」ブランドのクリック数は208%と急激に増えています。

カラー&ファブリック

「Stylight」は今年を代表するカラーとファブリックも発表しています。ランウェイのルックを見てもトレンドは明らかですが、実際に消費者の関心も高まっていることがクリック数からもうかがえます。

2020年はレザーの年

ランウェイではここ数シーズンレザー人気が続いていましたが、一般消費者のレベルでもレザー素材が定着してきた印象です。

特に90年代風の着こなしが人気で、レザーのトレンチコートは前年比で106%と伸びています。エコレザーの発達も目覚しく、しばらくはレザーの盛り上がりが続きそう。

ラベンダー、コーラル、チョコレートブラウンが今年のカラー

2000年代前半のトレンドがカムバックを果たしたことで、ラベンダーやディープコーラルといった色が人気に。ラベンダーのアイテムのクリック数は前年比で1000%以上と非常に大きく伸びたほか、コーラルも175%増加しました。

また、定番となったベージュ に代わるアースカラーとしては、チョコレートブラウンが浮上。前年比でクリック数は172%増えたそう。

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